アニメ化が話題の『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』。その時系列は本編『僕のヒーローアカデミア』とどう繋がっているのでしょうか?
『ヴィジランテ』はヒロアカの公式スピンオフ作品であり、本編より数年前の物語が描かれています。
この記事では、『ヴィジランテ』の時系列を軸に、ヒロアカ本編との関係性や登場キャラのクロスオーバー、視聴前に押さえておきたいポイントを徹底的に解説します。
この記事を読むとわかること
- 『ヴィジランテ』の時系列と本編との位置関係
- ヒロアカ本編とつながる重要キャラや出来事
- 等身大のヒーロー像と“正義”の多様なかたち
『ヴィジランテ』の時系列はヒロアカ本編より4年前
『ヴィジランテ』の物語は、ヒロアカ本編より約4年前の時代を描いています。
つまり、緑谷出久(デク)たちが雄英高校に入学するはるか前、まだ小学生だったころの出来事というわけです。
そのため、物語に登場する街の雰囲気やヒーローの位置づけも、本編とはやや異なる時代背景が色濃く反映されています。
この時代背景を象徴するのが、オールマイトとナイトアイの決別です。
『ヴィジランテ』ではすでに彼らのコンビは解消されており、そのことが作品全体のトーンにも影を落としています。
“全盛期のヒーロー像”と“過渡期のヒーロー社会”の間で揺れる時代が描かれているのです。
また、Mt.レディやシンリンカムイといったヒーローたちがまだデビュー前であることが、作中の単行本第4巻の幕間で明かされています。
これは、ヒロアカファンにとって貴重な“前日譚”であり、後のヒーロー社会の土台となる時期の出来事を知ることができる重要な作品と言えるでしょう。
つまり『ヴィジランテ』は、ヒーロー制度が確立される前の「混沌とした過渡期」を描いた物語なのです。
デクたちが小学生だった時代の物語
『ヴィジランテ』の物語が展開されるのは、デク(緑谷出久)がまだ小学生だった時代です。
つまり、雄英高校入学どころか“ワン・フォー・オール”の継承すら始まっていない時期にあたります。
ヒーロー社会がまだ発展途上で、一般市民の中にも「個性」を持つがゆえに社会からこぼれ落ちてしまう者たちが多く存在していました。
この時代の特徴は、「プロヒーローに認定されなければ活動できない」という法制度が、現在よりも厳格に適用されていた点にあります。
そのため、プロになれなかった者たちが“非合法ヒーロー=ヴィジランテ”として人助けを行っていたのです。
主人公・灰廻航一(はいまわりこういち)も、そんな市井の一人でした。
彼は冴えない大学生でありながら、夜な夜な“親切マン”として町の人々のために活動していました。
この設定は、デクのような「ヒーローに憧れるけれどなれない存在」という、ヒロアカ本編と共通する構図を感じさせます。
違いがあるとすれば、デクがヒーローの力を授かる「運命の出会い」によって道を切り開くのに対し、航一は自身の意思と覚悟だけでヴィジランテとしての道を歩み始めるという点です。
オールマイトとナイトアイのコンビ解消後の時期
『ヴィジランテ』の時代設定でもう一つ注目すべきポイントは、オールマイトとサー・ナイトアイのコンビがすでに解消されているという事実です。
本編では回想で語られることの多かったこの出来事が、『ヴィジランテ』では物語の背景として明確に反映されています。
この時期のオールマイトは、すでに「トゥルーフォーム」と「マッスルフォーム」を使い分けながら活動しており、裏では限界を迎えつつある肉体に苦しんでいました。
一方で、ナイトアイはすでに彼と袂を分かち、独自の活動を行っています。
この「分断された時期」の描写は、ヒーロー社会が理想と現実の間で揺らいでいる様子を象徴しているとも言えるでしょう。
オールマイトの存在感が薄れることで、“無免許でも人を救おうとする者たち=ヴィジランテ”の意義が際立っていくのです。
また、この時代には現在のヒーロー社会では語られにくい「裏社会」や「個性犯罪」なども多く描かれており、
オールマイトの正義では拾いきれなかった現場を、ヴィジランテたちが補完するような構図が見えてきます。
このような背景が、後にオールマイトが本編で抱える葛藤や、ナイトアイとのすれ違いにも影響を与えていると考えられます。
『ヴィジランテ』とヒロアカ本編の具体的なつながり
『ヴィジランテ』はスピンオフ作品でありながら、本編『僕のヒーローアカデミア』と世界観を完全に共有しています。
ただのサイドストーリーではなく、時系列的に前日譚として機能しており、主要キャラクターたちの“過去”や“関係性”に迫る描写も多く含まれています。
この章では、ヒロアカ本編と直接つながっている要素や、両作品をまたいで登場するキャラクターについて詳しく解説していきます。
イレイザーヘッドや塚内刑事が登場
『ヴィジランテ』では、本編でもおなじみのキャラクターが多数登場します。
中でもイレイザーヘッド(相澤消太)と塚内直正刑事の存在は大きく、本編ファンにとって見逃せないポイントです。
この2人の過去や立ち位置は、本作を通してより深く描かれており、ヒロアカ世界の理解を大きく深めてくれます。
イレイザーヘッドは、この時期まだ雄英高校の教師になる前の現役プロヒーローとして登場します。
舞台となる鳴羽田地区を担当しており、ヴィジランテたちの活動を法の目線で監視しつつも、必要とあれば協力も辞さないスタンスをとります。
本編でのクールで合理的な彼の姿と、やや若く尖った雰囲気の“前史”としての相澤を見ることができるのは、非常に貴重です。
また、塚内刑事はオールマイトの信頼する警察官として本編でも登場しますが、『ヴィジランテ』ではその“始まり”が描かれています。
彼がオールマイトとどのように関係を築いたのか、またヒーローと警察の連携がどのように芽生えていったのかという点は、本作の大きな見どころです。
「ヒーローの陰にいる市民目線の正義」を体現しているのが、彼の役割とも言えるでしょう。
インゲニウム兄が登場しコーイチと関わる場面も
『ヴィジランテ』には、ヒロアカ本編でおなじみのヒーロー・インゲニウム(飯田天哉)の兄、飯田天晴が登場します。
彼は「ターボヒーロー・インゲニウム」として鳴羽田エリアに訪れ、後にヴィジランテであるコーイチと偶然出会い、交流を深めていきます。
この出会いは、コーイチの“ヒーローとしてのあり方”に大きな影響を与える重要なエピソードです。
天晴は、プロヒーローとしての立場から、「速さ」だけでなく「状況に応じた最適な対応」の重要性を説きます。
彼の教えを通じて、コーイチは自分の“滑走”という地味な個性に誇りを持ち、自分の役割=「弱者を助ける視点」を明確に認識するようになるのです。
これはヒロアカ本編で語られる「適材適所」のテーマとも重なり、両作品をつなぐ大きな橋渡しと言えるでしょう。
また、この作品で描かれる飯田兄は、本編では描かれなかった“現役ヒーロー時代の姿”であり、その誠実さや仲間思いの性格が印象的です。
のちに彼がヴィランによって重傷を負い、弟・天哉にバトンを託すエピソードを思い返すと、本作での登場シーンには深い意味が込められていると感じさせられます。
コーイチと天晴の師弟にも似た関係性は、ヴィジランテという物語におけるもう一つの“正義の系譜”を描いているのです。
ヴィジランテ達の活動は本編にどう影響している?
『ヴィジランテ』はスピンオフでありながら、ヒロアカ本編の世界に深く根ざした物語です。
特に、作中でヴィジランテたちが関わった事件や存在は、本編の“裏側”として確実に影響を及ぼしています。
この章では、彼らの活動がどのようにヒーロー社会に波紋を広げ、本編に繋がっていったのかを読み解いていきます。
突発性ヴィランやトリガーの存在は本編にも登場
『ヴィジランテ』で頻繁に登場するのが、突発性ヴィランと呼ばれる存在です。
これは、薬物「トリガー」によって“個性”が暴走・変異した一般人たちのことを指します。
このトリガーは、使用者の理性を弱め、身体能力や個性を増強する効果を持ちますが、その代償として制御不能に陥るという危険な代物です。
この「トリガー」は、実は本編『ヒロアカ』にも登場しており、ヴィジランテたちが追っていた謎の組織や薬物の流通ルートが、のちに本編の敵連合などの関連へと繋がっていく流れになっています。
つまり、『ヴィジランテ』で描かれている事件は、ヒーロー社会の地下に潜む「ヴィラン生成システム」の序章だったともいえるのです。
また、ナックルダスターがこの薬の出所を追うストーリーは、警察との連携やプロヒーローたちの動きにも影響を与えていきます。
この一連の流れを本編と照らし合わせて見ることで、ヴィランや違法個性に対する取り締まりが強化されていく背景も理解しやすくなるはずです。
本編では断片的に語られていた事件の全貌が、『ヴィジランテ』を通じて浮かび上がってくる——これが本作を読む最大の醍醐味の一つです。
スタンダール事件はステイン誕生に影響
『ヴィジランテ』で描かれる衝撃的な事件のひとつが、スタンダール事件です。
これは、正義を独自に解釈し、「悪を粛清する」という信念のもと暴走する人物スタンダールによって引き起こされました。
彼は“敵”だけでなく、正義に反する者や曖昧な立場の者さえも断罪の対象とし、刃を向ける危険な自警者でした。
このスタンダールというキャラクターこそが、のちの本編で強烈な存在感を放つ“ステイン”の原型なのです。
事実、スタンダールはナックルダスターとコーイチに敗北したあと、自らの顔を傷つけ、“真の正義”に覚醒したかのような言動を見せて姿を消します。
この出来事が彼の信念をさらに過激化させ、後に「ステイン」として再登場することになるのです。
つまり、『ヴィジランテ』はステインというヒロアカ本編屈指のカリスマヴィランのルーツを描いた作品でもあります。
本編で語られる「ステインの思想」は、決して突発的に生まれたものではなく、
ヴィジランテ時代の出来事や衝突を経て醸成された強固な理念だったことがわかります。
このように、『ヴィジランテ』は単なるスピンオフにとどまらず、本編のヴィラン観や“正義”の概念にまで影響を与える深い作品なのです。
本編を観た人こそ楽しめるスピンオフ構成
『ヴィジランテ』はヒロアカ本編の補完的な位置づけにとどまらず、
本編を観たファンだからこそ、より深く味わえる構成になっています。
登場人物の背景や“あのキャラ”の若き日々、さらにはヒーロー制度の成り立ちまで——本作はヒロアカ世界を裏側から照らすもう一つの物語です。
リアルで等身大のヒーロー像が描かれる
『ヴィジランテ』の最大の魅力の一つが、リアルで等身大な“ヒーロー”像の描写です。
本編『ヒロアカ』では、プロヒーローや雄英生のように選ばれし者たちが活躍するのに対し、
『ヴィジランテ』では、「ヒーローになれなかった者たち」が、それでも人を救おうともがく姿が中心に描かれます。
主人公・灰廻航一は、“滑走”という地味な個性しか持たない普通の大学生です。
しかし彼は、誰かを救いたいという想いだけを武器に、街でこっそりと人助けを行い、やがて「ザ・クロウラー」としてのアイデンティティを確立していきます。
その過程には、華やかなバトルよりも、迷いや挫折、葛藤といった人間臭さがあふれており、現代を生きる私たちの姿にも重なるものがあります。
さらに、仲間であるポップ☆ステップやナックルダスターも、それぞれに事情や苦しみを抱えながら活動しており、
彼らが時にぶつかり合い、時に助け合いながらヒーローとしての自分を築いていく姿は、「本当のヒーローとは何か?」を問いかける内容になっています。
『ヴィジランテ』は、スーパーパワーに頼らない“人間的な強さ”を教えてくれる、珠玉のヒーローストーリーなのです。
“正義”とは何か?を再考させられる構成
『ヴィジランテ』の物語を通じて、何度も浮かび上がってくるテーマが「正義とは何か?」という問いです。
プロヒーローのように社会に認められた存在ではない彼らが、それでも誰かを救うために行動し続ける姿は、
法や制度で定義される“正義”と、人の心から生まれる“正義”の違いを強く感じさせます。
例えば、ナックルダスターは個性すら持たない“ただの人間”でありながら、
自身の過去に背負った後悔と罪を原動力に、一人でヴィランに立ち向かう無骨な正義を貫きます。
その姿は暴力的で法を逸脱している一方で、彼が救ってきた人々の存在が、その“正義”に重みを与えているのです。
また、ポップ☆ステップはアイドル活動という一見軽薄な手段で注目を集めながら、
やがて自らの存在意義を見つけ、「自分にしかできない助け方がある」と気づいていく成長が描かれています。
このように、『ヴィジランテ』では「力」や「地位」ではなく、“想い”こそがヒーローにとって最も大切な資質であることが何度も示されるのです。
“正義”の形は一つではない——それが『ヴィジランテ』が本編以上に伝えてくれる、現代的でリアルなメッセージなのかもしれません。
『ヴィジランテ』時系列とヒロアカ本編の関係性まとめ
ここまでご紹介してきたように、『ヴィジランテ』は時系列・世界観ともに『僕のヒーローアカデミア』と深く結びついた作品です。
本編の約4年前という設定により、キャラクターの“若き日々”や“裏の動き”を垣間見ることができます。
この最終章では、改めて『ヴィジランテ』とヒロアカ本編の関係性を整理し、その魅力を総括していきます。
4年前の前日譚として、ヒロアカファンに必見の内容
『ヴィジランテ』は、ヒロアカ本編の約4年前を舞台にした公式スピンオフであり、まさに“前日譚”としての価値を持つ作品です。
時系列的には、デクたちはまだ小学生であり、オールマイトとナイトアイはすでにコンビを解消。
また、Mt.レディやシンリンカムイも未デビューという、まさに「プロヒーロー社会の黎明期」を描いた内容となっています。
この時期は、制度もヒーロー観も未成熟で、正義の形がいまだ多様に揺れていた時代です。
そんな中で活動するヴィジランテたちは、本編とは一線を画す“素人のヒーロー”としてのリアリティと葛藤を体現しています。
その姿は、スーツを着たプロヒーローたちとはまた違った、“等身大の正義”のあり方を提示してくれるのです。
『ヴィジランテ』を読むことで、本編で活躍するキャラたちの背景や、なぜ今のヒーロー社会が築かれたのかという視点を深めることができます。
ヒロアカファンであれば必ず楽しめる、知っておくとより感動が増す「過去の物語」なのです。
本編キャラの意外な一面も楽しめる!
『ヴィジランテ』の大きな魅力の一つが、本編でおなじみのキャラクターたちの“意外な一面”が見られるという点です。
イレイザーヘッド(相澤消太)は、まだ教師になる前のプロヒーローとして活動しており、
クールな中にも若さゆえの荒さや、人間味あふれる迷いや葛藤が描かれています。
また、塚内直正もまだ駆け出しの刑事で、オールマイトとの関係が築かれていく過程が丁寧に描かれており、
「本編での信頼関係の原点」を知ることができます。
さらに、後に敵(ヴィラン)となるキャラクターのルーツや、ステインの前身であるスタンダールなど、
本編では語られなかった“過去”が物語としてしっかりと描かれているのもファンにはたまりません。
こうした裏側のストーリーを知ることで、本編のエピソードに新たな感情や解釈が加わり、
より深く『僕のヒーローアカデミア』の世界に没入できるようになります。
「知ってよかった」と思えるキャラの背景が満載の『ヴィジランテ』、ヒロアカファンなら必見のスピンオフです!
この記事のまとめ
- 『ヴィジランテ』はヒロアカ本編の約4年前が舞台
- デクたちはまだ小学生、ヒーロー制度も未成熟
- オールマイトとナイトアイはすでに決別済み
- イレイザーヘッドや塚内刑事の若き姿が描かれる
- ヴィジランテの活動が本編ヴィラン事件にも影響
- トリガーや突発性ヴィランの起源も明らかに
- ステインの思想誕生に関わる“スタンダール事件”
- 無個性でも正義を貫く姿が描かれる人間ドラマ
- “正義”の本質を問う、深くリアルなスピンオフ
- 本編キャラの過去が見える、ヒロアカファン必見!
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